扉絵への想い



作画・文章: 研究演習T高柳

「啓蒙」という名の白い光が当てられて久しいこの世界では、

多くの人間は目の前にある白い世界こそが全てだと思い込み、

光の当たっていない真っ黒な世界が存在する可能性を忘れがちである。

このような真っ白な世の中において、カマタゼミの幼生は

謎に満ちた真っ黒な世界の存在に気づいており、

その真っ黒な世界について常に思考しながら、

様々な色の光の宿った書物を一生懸命に食べ、

遠い将来に向けて力を蓄えるのである。


しかし、カマタゼミの生活は楽ではない。

暗い穴の中、あちこちでいろいろな傷を作ってしまう。

ボロボロになって心が折れそうになったとしても、

カマタゼミは書物を食べなければならないのである。

カマタゼミは白い光の下で安穏とはしていられないのだ。
仲間と共に助け合いながら、カマタゼミは強く生きなければならない。

多くのセミと同様に、カマタゼミは一生の大半を幼生として過ごす。
カマタゼミは苦労して食べてきた書物の知識を、

玉手箱の中に大切にしまっておかなければならない。

いつか成体となって羽を広げた時のために。

長く厳しい雌伏の後、カマタゼミは七色の光の中へと旅立つのである。